DXにおける人材育成の成功事例を4つ紹介!教育プログラムの重要性を徹底解説
「DX推進人材の教育方法がわからない」
「DX推進人材の教育で成功した事例を知りたい」
今回は、上記のような悩みに沿ってDX推進人材の重要性について解説します。DX推進人材は企業DXにおける成功の根幹を支えています。つまり、DX推進人材の育成を進めていかなければ企業のDX化は遠ざかる一方です。
そこで本記事では、DX推進人材の育成で大切なこと、DX人材育成の成功事例について解説します。最後まで読むことで、DXを実現するためにやるべき行動が明確になるはずです。
DX推進人材に必要な2つのマインドセット
まずはDX推進人材に必要なマインドセットを2つ解説します。場合によっては専門スキルよりも重要になるため押さえておきましょう。
課題に立ち向かえる強い意志
必要なマインドセット1つ目は、課題に立ち向かえる強い意志です。いくら専門知識を持った優秀なDX推進人材であっても、課題に立ち向かえるマインドセットがなければプロジェクトを始めることすらできません。
また、DXは複雑かつ大規模なプロジェクトであるため、進行する過程で幾度となく困難に直面します。そんな場面で強い意志や前向きなマインドセットがなければ途中で挫折し、プロジェクトが失敗してしまうでしょう。プロジェクトを最後までやり遂げるためにも、課題に立ち向かえるマインドセットが必要となります。
DXに対する興味関心
DXに対する興味関心もDX推進人材に求められるマインドセットの1つです。推進するプロジェクトに対して興味が一切なければ、前向きな気持ちで取り組むことはできません。「なんだかやる気が起きない」という状態でプロジェクトを進めても、良い結果には結びつかないのです。
それらのことから、DX推進人材はDXの実現に向けて誰よりも考え抜いて行動する必要があります。
DX推進人材の育成で大切な3つのこと
DX推進人材に必要なマインドセットは理解できたでしょうか?続いて、DX推進人材の育成で大切なことを3つ解説します。これから人材教育にかかわる方はぜひ参考にしてみてください。
学べる環境を構築する
DX推進人材を教育するときは、学習者が学べる環境を構築しましょう。DX推進人材が取り組むプロジェクトは容易ではないため、集中して取り組める環境が必要になるのです。
学べる環境を構築するための方法としては、資格取得における費用面のサポート、資格取得者への表彰、インセンティブ制度の実施などが考えられます。また、ほか従業員の立場を保つためにも、DXの重要度を社内にしっかり共有しましょう。こういった学べる環境を意図的に作り出すことで、学習者のパフォーマンスが向上します。
良質な体験を提供する
優秀な人材に育成したいのであれば、良質な体験を提供しましょう。DX推進人材は専門的な知識だけを詰め込んでも成長しません。専門知識をスキルとして変換するためのリアルな経験が重要となります。
なかでも効果的だとされる体験が、OJTと社外研修です。OJTは「On the Job Training」の略であり、実践をとおして業務知識を身につけてもらう育成手法を意味します。実践で繰り返しデジタル技術の知識を活用することで、さらなるスキル習得につながるはずです。
また、社外研修を実施すれば他者との交流を増やせるため、DXに対する興味関心が強くなります。ほかにも外部との接触が良い刺激となり、学習者のモチベーションアップにも期待できるでしょう。
人材管理を徹底する
DX推進人材の育成で大切なこと3つ目として、人材管理の徹底があげられます。企業のDX推進を長期的に行う場合、通常業務との兼任は学習者の負担となります。そのため学習者はDX専任として扱うほか、DX推進部門の設立を検討しましょう。
また、DX推進人材には向き不向きがあります。向かない従業員に無理やり就任させてもトラブルの原因となるため、人材の選定を十分に行いましょう。これら人材管理を徹底することで企業DXは良い方向に進んでいきます。
DX推進における人材育成の成功事例4つ
ここまで、DX推進人材の育成で大切なことを解説しました。それを踏まえて、本項ではDX推進人材の成功事例をみていきましょう。DX推進人材の教育における重要性が明確になるはずです。
ダイキン工業株式会社
DX推進人材の成功事例1つ目は、空調・化学事業を手掛ける「ダイキン工業株式会社」です。ダイキン工業株式会社は企業を持続的に成長させるためにも、「IoT、AI技術を活用した空調ソリューション事業の加速」を重点におき、DX推進を担う人材の育成に取り組みました。
さらに、2017年12月に社内講座「ダイキン情報技術大学(DICT)」を設立し、幅広い部門から選抜した従業員に対し、独自カリキュラムでDXの研修を行っています。本研修では、AIの基礎知識やAIの活用方法、各部門の課題に沿ったプロジェクトベースの演習「PBL(Project Based Learning)」などを実施しています。
ほかにも、新入社員に対しては毎年約100人が2年間のDICT研修に専念してもらい、1年目でAIやIoTといった専門知識の習得に向けて学習を促します。また、空調技術をはじめとするコア技術の学習を行い、2年目には開発・製造部門・営業部門などから募った80以上のテーマに対して現場研修を行っています。
上記のように、社内のAI・IoTにおける理解を浸透させるためにも、ダイキン工業株式会社では本格的な取り組みが実施されています。
日清食品ホールディングス株式会社
DX推進人材の成功事例2つ目として、インスタントラーメンで有名な「日清食品ホールディングス株式会社」を紹介します。日清食品ホールディングス株式会社は2020年6月に時価総額1兆円を達成しており、食品メーカーとしての確かな実力を示しています。実はその裏付けとなったのがDX推進です。
日清食品ホールディングス株式会社では、数年がかりでシステムの8割以上を削減し、メインフレームの撤廃を達成しました。それに伴い、システム運用や保守経費の削減、担当部門の負担軽減、業務効率化の影響で創出した時間を用いてIT戦力の立案・技術活用など、あらゆる取り組みを実現しています。
また、2019年からは「Digitize Your Arms(デジタルを武装せよ)」というスローガンを掲げ、従業員1人ひとりに対して「生産性200%」を実現するための取り組みがされています。具体的な取り組みとしては下記のとおりです。
- 紙の業務フローのデジタル化
- オンライン会議の促進
- 働き方改革の一環としてタブレットPCの支給
- 社内問い合わせにチャットbotの設置
上記のような取り組みを経て、業務環境のIT化が進みました。なかでも特にこだわりの強い要素がシステム開発の「内製化」です。コードを書かずにアプリケーションの開発ができる「ローコード開発ツール」を採用したことにより、開発ができるメンバーの増加を促しています。
ソフトバンク株式会社
続いて「ソフトバンク株式会社」におけるDX人材育成の成功事例をご紹介します。ソフトバンク株式会社は2017年10月に、社会課題の解決に向けた専門組織「DX本部」を新設しました。
このDX本部には、営業や企画分野で活躍していた優秀な人材が合計120名招集されました。もちろん、DX本部に招集されたこの120名は市場ニーズの察知力、交渉スキル、柔軟な思考力といったあらゆるスキルを持った人材であり、その人材に見合った必要な研修などが実施されました。
このようなDX人材の育成を経て、ソフトバンク株式会社では数多くの社会課題の解決を達成しています。実際の取組みとしては社外との協働で行うケースが多く、オンライン健康医療相談サービス『HELPO』や、日本通運との協力により生まれたデジタル化配送システムなどを開発・リリースなどがあげられます。
株式会社みずほフィナンシャルグループ
最後にご紹介するDX人材育成の成功事例は、「株式会社みずほフィナンシャルグループ」です。当社は「次世代金融への転換」を目指していることから、オープンイノベーションを推進する「株式会社Blue Lab」の設立や、新銀行設立に向けた「LINE」との提携を行っています。
こうした改革を加速させるためにも、DXを推進する専門的な人材育成とあわせて、従業員1人ひとりのデジタルリテラシーの向上に向けた取り組みが行われました。また当社の特徴的な点は、従業員のデジタルリテラシーを以下の3段階に分けて取り組んだことです。
- 覚醒段階:環境変化に対する危機意識やデジタル化の必要性・重要性を認識する段階
- 基礎知識習得段階:IT・デジタルの基礎用語や適用事例などを学び、ツール利用の前提知識を獲得する段階
- 実践段階:RPAの活用やデータ分析、機械学習の利用など、職場課題の解決に貢献する段階
このようにデジタルリテラシーを3つに分け、そのレベルに合わせたオンライン学習やOJTなど多彩な教育プログラムを提供しています。DX人材育成を前向きに取り組んだ結果として、大規模な変革に成功させているのです。
まとめ
本記事では、DX推進人材の育成で大切なこと、DX人材育成の成功事例について解説しました。
DX推進人材には専門知識や実践レベルのスキルが必要ではあるものの、前向きに取り組み続けるマインドセットも非常に重要です。そのための教育として、学習者のモチベーションを引き出す教育プログラムを用意する必要があります。
とはいえ、DX推進人材の教育プログラムを実行するのは容易ではありません。もしDX推進人材の教育にかかわるのであれば、ぜひ本記事で紹介した成功事例を参考にし、できる範囲で少しずつ教育プログラムを進めていきましょう。