DXの定義

DX(デジタルトランスフォーメーション)の定義

DX(デジタルトランスフォーメーション)にはさまざまな定義が存在します。
本記事では、DXに関するサイトや書籍それぞれが定義するDXの定義を紹介します。この中から、自分(自社)にマッチするDXの定義を見つけてください。

DXとは

DX(デジタルトランスフォーメーション)の定義

DX(デジタルフォーメーション)には様々な定義が存在する

本サイトでもさまざまなDXの事例をあげていますが、DXとは何か?ということは、法律で定められているものではなく、実は多様な定義があります。

「それはIT化であって、DXではない!DXとは~~~である。」という書籍やサイトが多々あり、概ね同様のことを謳っています。

しかしながら、その定義はそれぞれであるので、自分(自社)に取って分かりやすい、マッチするものを自分(自社)に取っての「DXとは」とするのがいいでしょう。



以下、さまざまなDXの定義をご紹介します。(順不同)

(国)経済産業省 

企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること

経済産業省 デジタルトランスフォーメーションを推進するためのガイドライン(DX推進ガイドライン) 

経済産業省が定義しているものだけあって、多くのサイトや書籍がDXの定義として用いています。

わずか116文字の中にDXを定義する要素がまんべなくちりばめられています。

(企業)IDC

企業が外部エコシステム(顧客、市場)の破壊的な変化に対応しつつ、内部エコシステム(組織、文化、従業員)の変革を牽引しながら、第3のプラットフォームを利用して、新しい製品やサービス、新しいビジネスモデルを通して、ネットとリアルの両面での顧客エクスペリエンスの変革を図ることで価値を創出し、競争上の優位性を確立することを指す。

IDC 用語解説 DX(デジタルトランスフォーメーション)

経済産業省の定義と言い回しが異なりながらも環境面については同様、そこに新しい製品・サービス・ビジネスモデルを作り出して、競争力を上げるべきということが記されています。

(書籍)今すぐ知りたいDXの基礎

デジタルを使って自らを変革し、圧倒的な競争力を身につけること

中村 建助「今すぐ知りたいDXの基礎 」 出版:日経BP社

端的に「変革」と「(圧倒的な)競争力」であると記しています。

(書籍)DXの教養 デジタル時代に求められる実践的知識

製品サービスのあり方や顧客への届け方、さらには、それらを実現するための仕事の進め方、働き方など、デジタルテクノロジーを活用して改革する中で、日々の業務改善と、新規事業やサービスを創造し、企業や社会の持続的な成長に貢献すること。

志度 昌宏、三菱ケミカルホールディングス先端技術 事業開発室DXグループ「DXの教養 デジタル時代に求められる実践的知識 」 出版:インプレス

サービスはもとより、仕事の進め方・働き方など、内部(社内)にも焦点を当てています。

(書籍)DX経営図鑑

技術導入によって得られたアドバンテージを用いて価値提供の仕組みを変え、ビジネス構造を変えることで、新しい競争基準の中で優位性を得るという、一連の変革ストーリーこそがDXなのです。

金澤一央、DX Navigator編集部「DX経営図鑑 」 出版:アルク

「新しい競争基準」が意味するのは、いわゆる同じ土俵で戦うのではなく、土俵を変えて戦うべきという事でしょう。ここでもまた「変革」が使われています。

(書籍)アカン!DX

DXを平たく言えば「デジタル(IT)を活用したビジネス構造の変革」だ。

木村岳史「アカン!DX 」 出版:日経BP社

「IT」+「変革」 シンプルです。シンプルこそ分かりやすいですね。

(書籍)DX革命

DXとは、単にITやデジタルテクノロジーを取り入れるといった単純なことではない。「デジタルテクノロジーを用いて、二一世紀型企業に変革を図る」。これこそが DXの本質なのである。

大前研一「DX革命 」 出版:プレジデント

いわゆるIT化をすればいいのではない、次世代の企業に生まれ変われというメッセージです。

(書籍)DXの思考法 日本経済復活への最強戦略

DXとは、CX(会社をつくり変えること)である。

西山圭太「DXの思考法 日本経済復活への最強戦略 」 出版:文藝春秋

ここでのCXとは「カスタマーエクスペリエンス」ではなく、「コーポレート・トランスフォーメーション」を意味しています。

(書籍)いまこそ知りたいDX戦略  自社のコアを再定義し、デジタル化する

実はアメリカでは、「デジタルトランスフォーメーション(DX)」という言葉はビジネスの現場ではあまり使わない。というのは、DXは「第四次産業革命そのもの」を指すと捉えられているからだ。

石角友愛「いまこそ知りたいDX戦略 自社のコアを再定義し、デジタル化する」 出版:ディスカヴァー・トゥエンティワン

デジタル関連用語は、アメリカ発と単純に捉えそうですが、ビジネスの現場ではあまり使われていないというのは、意外でした。確かに産業革命と言われるほどのインパクトがある環境が生まれていると言っていいでしょう。

(書籍)なぜ、DXは失敗するのか? 「破壊的な変革」を成功に導く5段階モデル

【デジタル技術による破壊的変化(Digital disruption)】
第4次産業革命がビジネスと公共部門に与える影響。急速に普及しつつある安価なデジタル技術は、産業、経済、社会の変化を広い範囲で引き起こしている。この爆発的な変化が起きたのは、ここ10~20年くらいのことだ。

【DX( Digital transformation)】 第3次産業革命から第4次産業革命への企業および社会の移行。これは企業にとって、デジタル技術を新しい製品、サービス、運用方法、ビジネスモデルの基盤にすることを意味する。

トニー サルダナ「なぜ、DXは失敗するのか?―「破壊的な変革」を成功に導く5段階モデル 」 出版:東洋経済新報社

インドで育ち、キャリア(60カ国以上で仕事し、6カ国に住んだ)を通じてDXに携わったという著者もまた、前述の書籍同様、第4次産業革命への移行であると言っています。

(書籍)勝ち残る中堅・中小企業になる DXの教科書

「多くの経営者が、将来の成長、競争力強化のために、新たなデジタル技術を活用して新たなビジネスモデルを創出・柔軟に変化し続ける」こと

野口浩之、 長谷川智紀「勝ち残る中堅・中小企業になる DXの教科書 」 出版:株式会社日本実業出版社

中堅・中小企業に向けた書籍だからか、「経営者」を主役にしています。中堅・中小企業経営者に対するメッセージを感じます。

(書籍)DXの真髄 日本企業が変革すべき21の習慣病

DXとは、「RPAをはじめとしたデジタル技術を活用して、全社的に業務プロセス、組織のあり方、人の行動を変革し、新たな価値を創造できるようにすること」を意味する。DXはともすると、新しい技術やサービス( DXの「 D」)に目を奪われがちだが、その本質は「x」=変革の方にこそある。

安部 慶喜、柳 剛洋「DXの真髄 日本企業が変革すべき21の習慣病 」 出版:日経BP社

内部(社内)を中心とした定義に見えますが、本質は「変革」であると締めています。

(書籍)DXとは何か 意識改革からニューノーマルへ

最近の進んだ情報通信技術やIoTを活かし、それらから集まってくるビッグデータ、そしてそれをAIのようなものも使いながら解析し、根本的な変革──産業プロセスはもちろん、私たちの生活、社会、企業、国家などすべてに変革を起こそうという動き──を本書ではDXと定義する。

坂村 健「DXとは何か 意識改革からニューノーマルへ」 出版:角川新書

企業のみならず、社会、そして国家までの変革であると、大きなスケールで書かれています。

(書籍)アフターデジタル

「デジタルトランスフォーメーション」という言葉は、企業のためにあるのではありません。社会インフラやビジネスの基盤がデジタルに変容(トランスフォーム)することを指しているのです。

藤井保文、尾原和啓「アフターデジタル 」 出版:日経BP社

中心は企業ではない、社会、そしてビジネス基盤の変革(ここでは、変容と記しています)であると言っています。

まとめ

本記事では、DX(デジタルトランスフォーメーション)のさまざまな定義を紹介しました。

DXは自社がおかれている業界、DXを社内で推進する立場においても、捉え方が変わることがあるでしょう。しかし、規模の違いはあれどデジタル技術を活用して変革するということに変わりありません。

DXを理解して自分の言葉にするために、ぜひ本記事で紹介したDXの定義の中から自身にマッチするものを見つけてください。

株式会社クラボード 代表取締役上村公彦

執筆株式会社クラボード 代表取締役上村公彦

大手SIerのシステム子会社にてSEとしてメガバンクのシステム開発を経験。その後システム会社の起業、ベンチャー企業のシステム担当役員を兼務し、基幹システムからWEBサービスまで、様々なシステムのコンサルティング、開発に携わる。【DX】のワードが流行り出す以前より、DX的発想にてシステム企画・開発を実践してきました。